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基本的な統計学と疫学的手法,それらの文献等,R等の統計ソフトの使い方をブログ記事やYoutubeを用いて解説します.

『Causal inference: What if』のまとめページ(Part I)

Part I: Causal inference without models

このPartでは,シンプルな状況下で,因果推論の考え方,条件,方法を説明しています.この書籍ではDAGを多用しています.そのため,DAGの見方・考え方にも一つのChapterで説明します.

また,バイアスを交絡,選択バイアス,測定バイアスに分けており,特に選択バイアスの考え方は特徴的です.

このPartで説明している内容は,適宜KRSK氏のブログを参考にすると理解が捗ると思います. www.krsk-phs.com

Chapter 1 A definition of causal effect

発表者:水野篤@心臓の医者 🇺🇸にて修行中 (@atmizu) | Twitter

このChapterでは,潜在アウトカム(Potential outcome)から因果効果(Causal effect)を定義します.対となる関連(Association)との違いは重要です.

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Chapter 2 A Randomized experiments

発表者:komuRa (@hizakayu) | Twitter

このChapterでは,処置をランダムに割り付ける(ランダム化比較試験)もとで,因果効果を推定する条件の一つである(Conditional) Exchangeabilityを主に学びます.またデータから因果効果を推定する方法であるStandardization(標準化)とInverse probability weighting(IPW, IP weighting, 逆確率重み付け)も学習します.

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Chapter 3 Observational studies

発表者:⏣Benzene (@Benzene53917133) | Twitter and みるく (@ykvVNyzrGCYvsj5) | Twitter

このChapterでは,処置をランダムに割り付けない(観察研究)もとで,因果効果を推定する条件であるIdentifiabilityを学びます.この条件は,ExchangeabilityPositivitiy,そしてConsistensy*1から構成されます. 最後に,観察研究のデータでランダム化比較試験を模倣するTarget trialの導入も学びます.Target trialの詳しい内容は,Part III Chapter 22で学習します.

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Chapter 4 Effect modification

発表者:Nobu Kagiyama@Heart Doctor (@KagiyamaNobu) | Twitter

このChapterでは,これまでのChapterで学習してきた集団に対する因果効果ではなく,その一部の集団における因果効果に注目します.層ごとに因果効果が異なるとき,Effect modification(効果修飾)があると言います. 生物統計学でInteraction(交互作用)という概念を学びますが,Effect modificationとして捉えるていることが多いです.Chapter 5では,別概念としてInteractionを学びますので,区別して考え,解析的な操作である積項(Product term)も交互作用項とは言わない方が良いということがわかります.

さらに,何を推定しているのか?というEstimandについても,このChapterで学習します.

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Chapter 5 Interaction

発表者:Y. M. (@msmr_0408) | Twitter

このChapterでは,2つ以上の興味のある処置や変数の潜在アウトカムから推定する因果効果を学習します.この書籍の中で比較的,疫学的な考え方であるSufficient causeについても学習します.

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Chapter 6 Graphical representation of causal effects

発表者:Sato Shuntaro@生物統計学 (@Shuntarooo3) | Twitter

このChapterでは,因果構造を図で表すDAG (Directed Acyclic Graph)を導入します.DAGを用いて,Exchangeabilityが成立しないときの条件(バックドア基準)やバイアスの種類を整理します.

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Chapter 7 Confounding

発表者:SNKZ (@sanokaz368) | Twitter

このChapterでは,処置とアウトカムが共通原因(Common cause)を持つときに生じるバイアスであるConfounding(交絡)を学習します.従来の交絡因子の選択方法でもバイアス(例えば,M-バイアス)が生じてしまう場合でも,DAGを使えば同定できることを示します.

また,Part IIIで利用する,変数の潜在的な構造も考慮したDAGであるSWIG(Single-world intervention graphs)の導入もおこないます.

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Chapter 8 Selection bias

発表者:ヴィンティー (@vin_tea01) | Twitter

このChapterでは,処置とアウトカムが共通効果(Common effect)または合流点(Collider)を持つときに生じるバイアスであるSelection bias(選択バイアス)を学習します.Selection biasは分野内外でさまざまな定義があり,これについてもKRSK氏のブログが参考になります.

www.krsk-phs.com

Selection biasは,ランダム化比較試験であっても試験途中の脱落や欠測があれば生じてしまうことに注意してください.ここではIP weightingを用いてバイアスを調整する方法を説明します.

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Chapter 9 Measurement bias

発表者:yuri.k@ (@Yuri_L_st) | Twitter

このChapterでは,データの測定に誤差があった場合に生じるバイアスであるMeasurement bias(測定バイアス)を学習します.Information bias(情報バイアス)とも呼ばれます.Measurement biasは,研究デザインや解析方法で調整することが難しいです.研究の計画段階でデータを誤差なく測定するための工夫が重要です.

さらに,ランダム化比較試験において,処置を割り付けた効果であるIntention to treat effect(ITT effect)と実際におこなわれた処置の効果であるPer protocol effectについても学びます.

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Chapter 10 Random variability

発表者:と (@butano_hito) | Twitter

このChapterでは,他のChpaterとは異なり統計学に焦点を当てています.これまでサンプルサイズが無限であるという統計学的なばらつきがない条件で,因果効果を推定する方法を学習してきました.ここでは,有限なサンプルサイズのもとでの推定値の振る舞いを学習します.

「ランダム化比較試験において,背景情報がバランスとれていないときに,どのような対処をするか」について活発な議論がおこなわれました.

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*1:このConsistensyは,統計学の文脈の一致性と異なりますので注意が必要です.